実盛討死の伝話は軍記物語、源平盛衰記に出てくる。加賀篠原の合戦で平家の軍勢は木曽義仲勢に打ち破られ背走した。その時、白髪を黒く染めて出陣していた実盛一騎のみが踏みとどまり戦うが手塚太郎光盛に討ち取られた。一騎打ちのとき手塚太郎は自分の名をなのり、相手に名垂れなのかと声をかけたが、実盛は名垂らなかったという。 首実検のとき、首を近くの池で洗ったところ白髪となり実盛とわかった。義仲は二歳のとき平家により実盛に助けられ木曽山中で育った。幼き頃よりこのことを聞かされていたので、義仲は涙を流し、「実盛殿、なぜ討死なされた」と泣き、死体を埋め実盛塚を造り、一本の松の木を植え手厚く葬ったという。(朝倉記) |