毎日こつこつと孤独に元事務所の不要物を搬出している。 片付き、きれいになるにしたがってがらんとした空虚な空間が顔をのぞかせてきた。 そこで、空虚を埋めるインテリアになるのではないかと、波松の海岸を流木求めてさまよった。 暮れなずむ夕陽のなかでぼくはシルエットだった。 床柱が砂浜に流れついているのを見つけたとき、江戸川柳が頭をよぎった。
楽しみは うしろに柱前に酒 左右に女 ふところにかね 昔、PTAの会長していた時の親睦宴会で床柱背中にして座ったことは何度かある。 しかし、左右は女ではなかった。校長・教頭だった。 ふところにあったのは若干の硬貨で、札束ではなかった。
ひとは、それぞれに夢を持ち、実現のために日々を送るのだが、その過程で世におさらばする。 結果より、過程なのだ。宿命といってもいいのではないか。 さあ、鉢巻しめて頑張ろう。
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