風薫る5月もきょうで最後、明日はもう6月だ。 6月は鬱陶しい梅雨の季節。イラク問題のような大状況からわたしたち庶民の日常をとりまく小状況まで、晴間の見えない日々がこれからも続くのだろうが、亡くなった友人の「苦しみは連続楽しみは断続が人生や」という言葉を枕元に置いて、しこしこと生きていこうと思う。
閑話休題 午後、友人からの電話で「走るのに疲れました」という唄をうたっていたフォークシンガーは誰でしたけね?」と聞かれ「知らない」と答えたのだが、いわゆる故円谷幸吉の鎮魂歌なのだろう。 受話器を置いたあと、ダーバンのネクタイをゆるめ洋モク・ゲルベゾルテにダンヒルで火をつけ、イタリアンロッキングチェアをリクラインイングモードにして40年近く前の東京オリンピックを思い出していた。 最終日の男子マラソン。「走る哲学者」と言われたアベベ・ビキラがダントツでゴールインし悠々と体操をしていた代々木陸上競技場トラックに苦悶の表情で飛び込んできたのが円谷でしかし後続の英半ハゲ・ヒートリーにあれよあれよという間に抜かれてしまったのである。 後年自殺した彼の遺書にあった「昨日のとろろおいしゅうございました云々」は同じく自殺した故三島由紀夫に絶賛されたなあ。 「黒い猛牛=ボブ・ヘイズ」「世界一速い車=ヘンリー・カー」「白い妖精=ベラ・チャスラフスカ」「女大鵬=タマラ・プレス」「金メダルポイントです!=日本女子バレー」「赤鬼=アントン・ヘーシンク」などを筆頭に、80m障害の依田・100mの飯島・重量挙げの三宅などをTV画面で一生懸命応援したもんだ。 その前のローマオリンピックは全く記憶になく、その次のミュンヘンオリンピック以降は興味が無くなってしまった |