昨日の日曜日、僕は「ふるさと語ろう会」のメンバーと共に杉田鶉山翁石碑及び代々の墓所前にいた。石碑寄贈者に多くの芦原温泉旅館の名が並んでいるのには驚いた。
続いて我々は鶉山翁生家跡を訪ねた。郡内きっての素封家であった杉田家所有の田地田畑は84町歩に及んだそうで、会のK氏によればこの数値は芝政を超えるとのこと。
その時、僕は某あわら市議から聞いた逸話を思い出した。鶉山翁が国鉄福井駅から自宅まで(随分の距離だ)をてくてくと歩いた時のこと。歩き疲れて大変に空腹となった時、田圃の畝に座りぼた餅を食べている農夫を見つけた。「ひとつ分けてくださらんか」と懇願して食べたぼた餅があまりにも美味しかったので「お礼に田圃一枚進呈します」と約束したそうだ。今の社会では考えられないスケールの逸話だ。
我々は鶉公民館に到着した。翁の石造の立派なこと。左手にサーベルを右手にナポレオン帽を持っている。
続いて公民館会議室に入り、我々十数人は館長から翁の功績のいろいろを聞いた。翁のたぐい稀な人格は父・仙十郎氏によるところが大きいとのことだった。館長の講話が終わり謝辞を述べた際、「あわら市にはいい会がありますね」と言われたのが嬉しかった。
帰りの車中で同乗者が「翁がその典型だが、議員は在任中に井戸を無くし塀を無くさなければいけない」と言う。それは確かにそうだが、もともと井戸や塀を持っていないものがこの世に残せるものは愛だけだと、僕は思った。
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