2012年06月
ということはともかく 昨日は土曜日だったので読書三昧。 西木正明著・「夢顔さんによろしく」を九分通り読み終えた。戦時下に内閣総理大臣を拝命し敗戦の年の12月に服毒自殺した近衛文麿の嫡男・近衛文隆のノンフィクション伝記だ。 前半はアメリカ留学時代の女といちゃつく話ばかりで「くだらんなあ」と思ったが、本は最後まで読むもんだ。 上海でピンルーと知り合ってから、当時の複雑怪奇な日支関係を肌身で知り、父文麿と同じように関東軍の独走を止めるように尽力するが、それゆえに軍部から睨まれて徴兵される。 昭和20年8月15日を中国大陸で迎えた。 侵入してきたスターリン統治下のソ連軍に捕まりラーゲリーに送られ、身に覚えのない懲役25年の刑を言い渡され各地の監獄を転々とする内、昭和31年に死んでしまった。 死因について、文隆の帰国許可と引換えにソ連邦へのスパイを提示したのだが敢然と断られ、ソ連邦によって薬物死させられたと著者は暗示している。 540頁に渡るこの厚い本は最後の100頁が圧倒的に胸をうつ。 「夢顔さんによろしく」の夢顔とは誰なのかが、近衛内閣の秘書官だっだ西園寺公一の口からそれが明らかになる。ゾルゲ事件のリヒハルト・ゾルゲだ。
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