禁煙を決意した。
かかりつけの医院へ行って、「禁煙を決意したので、薬治療をしたい」と言ったら、「そういうものに頼るのは君の意志の弱さの現われであって、決意が本物であるのならば、薬などに頼らず禁煙できるはずだ」と言われおおいに納得した。
すぐに煙草(ラーク9mg)を一本だけ残してゴミ箱に捨て、部屋にあった三つのライターのうちの二つのガスを抜いて、ゴミ箱に捨てた。残したタバコとライターを机の引出し奥深くしまった。
誘惑に負けない自分であるかどうかが、きょうからためされる。
何故一本のタバコとひとつのガスライターを残したかというと、死の間際に一本だけ肺の奥までじっくりと吸って、「はい、さよなら」と逝きたいからである。
でも、禁煙状態に入ってから、煙草にまつわる思い出のいろいろが頭をめぐる。
ハイテーンの頃、初めて吸った煙草はハイライトで、当時は確か70円(はい、らいとを消してねなどとダジャレを口にしながら吸っていた)。その後、ピース・セブンスター・マイルドセブンと渡り歩いたが、一時期、紙巻煙草をやめてパイプに凝っていたこともある。
手入れの面倒くささと周囲に与える匂いの強さゆえ、再び紙巻煙草に戻った。銘柄はランバージャックに変わりここ二年程はラークを吸い続けていた。
煙草のけむりは素敵な唄で、今でも口ずさむことがある。
いずれにしろ、君との恋はきょうで終わった。
さようなら、たば子
♡。いつもでもお幸せに、たば子
♡。